細 将貴

武蔵野美術大学教養文化・学芸員研究室准教授(2021年4月現在 退職)。

1980年和歌山県生まれ。京都大学大学院理学研究科博士課程後期課程修了。博士(理学)。動物の左右非対称性に関する研究、および生物多様性の創出機構に関する研究をおこなう。 現在、早稲田大学先端生命医科学センターにて研究室を主宰。

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─20歳の頃はどんな音楽を聴いていましたか?

細:THE BLUE HEARTS を聴いていたかな。この頃は解散して別のバンド名になっていたんだけど、高校の頃から好きで、大学に入ってからもCDを借りてきてよく聴いていましたね。

─パンク系がお好きだったということですか?

細:それがね、具体的に何系ということではなくて。一般的に有名だったB’zとかZARDとか、当時の若い人たちが聴いていた音楽を一通り聴いていたんだよね。その中でも、特に自分が好きで聴いていたのがTHE BLUE HEARTSだったかな。

 

 

─現在、どのような音楽を聴いていますか?

細:家庭を持って子供がいると、1日の中で自分が自由にできる時間が短くて、その中で音を鳴らすということが難しい。例えば通勤中に音楽をイヤホンで聴くとか、そういったことが子育て世代の音楽との付き合い方になりそうだよね。でも今は(コロナ禍で)通勤がないから、自分で主体的に音楽を聴くということがなかなか難しくて。最近聴いてるのは専ら「おかあさんといっしょ」とか。Eテレの音楽はすごく耳に残るしよくできているよね。

─キャッチーですもんね。それでは、この質問に対する回答としては「おかあさんといっしょ」とかEテレの音楽を聴いていらっしゃるということで。

細:そうなるね。困ったことに曲名もよく思い出せないけどフレーズだけ出てくる(笑)。

 

─武蔵美生に是非聞いてほしい音楽はありますか?

細:同世代の友達の影響もあって中島みゆきはよく聴いていましたね。オススメしたいという意味では良いのかもしれない。

─特にオススメの1曲をあげるとしたら、どの曲ですか?

細:中島みゆき『命のリレー』とかかなあ。あの人は孤独な時に自分を奮い立たせるような、そういう曲を作っているから。アーティストや美大で制作をして生きてる人たちも、我々みたいに研究で生きている人たちも、基本的に孤独の中で活動しているから、その支えになるという意味では通ずるものがあるんじゃないかな。あとはZARDは今の40歳前後の人たちにとっては思春期に勇気づけられた音楽かなと思いますね。『負けないで』とかすごく流行っていて。

─その年代なんですね。90年代。

細:そう、90年代だね。その時代が1番いろんな音楽に溢れていたというか。同じ世代で音楽を共有することが多かったなと思う。

─これは聴いた話なのですが、『負けないで』はカノン進行というコード進行が使われていて、他に使われている曲が『愛は勝つ』とか。90年代にかけて、勇気づけるようなコード進行として流行ったと聞いたことがあります。

細:なるほど、確かに同じ系統だね。今はなんでそういう曲がないんですかね。今こそそういう曲が欲しいと思うのに。

 

 

─生態学と関わりのある音楽作品とか、そういうものをご存知でしたら教えてください。

細:そうねえ、生態学......。難しいなあ。うーん、生態学と音楽の関係では、動物の出す音や声が音楽の起源や発展にどう関与したのかに興味がありますね。鳥のさえずりや虫の鳴き声といった求愛のための音声、群れの仲間に何かを伝えるサルの声など、動物の間で意味をもつ音の並びは、人類が音楽を発明する前からあったはずです。だから、それらが音楽の起源やその発展に影響を与えていてもよさそうに思います。影響というのもいろいろな経路がありえて、人類が動物の音声コミュニケーションを聴いて真似たり着想を得たりした、という直接的なものもあるでしょうし、祖先を共有しているがために特定の音の並びを強く感受するような神経系の性質が共通していて、といった進化的な意味のものもあるでしょう。後者は実証がかなり難しそう。前者なら、たとえば音楽の地域性がそこに生息する動物の地域性で説明できたりしないでしょうか。楽器の素材となる動植物の地域性のほうが説明力が高いかな。音楽については素人なので想像するばかりですが、興味深いなと思っています。

 

取材:2020年12月27日

​編集:木島